ユーザーペルソナとは?
ユーザーペルソナとは、現実に存在するユーザーを架空の人物として表現したもので、ユーザー像とも呼ばれ、デザインプロセスの指針となるものです。目的とするユーザーが実際に使いたくなるような製品をデザイナーが作成・構築し、製作プロセスを標準化することを目指して作成されるものです。
人類のもつ美点のひとつに、お互いの抱える課題に対応できる能力があります。こうした内なる動機から、周囲の人々の暮らしを良くする重要なソリューションが生まれます。こうしたソリューションが将来の世代の暮らしに影響することも少なくありません。まったく見ず知らずの人が大昔に発明したものを日常的に使っていることも多いですが、日々私たちが使っている最新のソリューションの多くは、ユーザーの姿を理解した企業の手で生み出されたものです。
そうしたソリューション、例えばソフトウェアの開発者はあなたのことを個人的には知らないかもしれませんが、あなたが仕事で直面している課題についてはを理解しています。あなたが使っているソフトウェアやダウンロードしているアプリを把握しているからこそ、よりよいソリューションを生み出すことができるのです。こうした開発者がソリューションや機能の構築に使っているのがユーザーペルソナです。この記事では、ユーザーにとってよりよいソリューションを設計するため、独自のユーザーペルソナを作成する方法を説明します。
ユーザーペルソナとは?
ユーザーペルソナには、通常、ユーザーの写真と以下のような情報が含まれます。
- 役職名
- 年齢
- 性別
- 年収
- 場所
- 配偶者の有無
- 教育
- 目標と課題
- ニーズ
ただ、こうした情報は推測ではなく、データに基づく調査から得られたパターンに基づいています。
こうしたペルソナを作成しておくことで、人間味のない分析に基づいてデザイン関連の意思決定を行うのではなく、より多くの共感を呼ぶユーザーペルソナを参照しながら効果的に作業を進められるようになります。
例えば、自社が提供する契約会社プラットフォームの主なユーザーペルソナを清掃員の Jared として設定しましょう。このペルソナには、製品を使ってデータベースをセットアップするのに要する技術的スキルはあるでしょうか?また、もう一人のペルソナ、インテリアデザイナーで2児の母でもある Jane に FaceID を使わずにパスワードを入力する忍耐力は果たしてあるでしょうか (調査によりユーザーは Android デバイスでなく iPhone を使っているという結果が出ています)。
ユーザーペルソナは、他社に共感するという人間ならではの力を利用して、対象を絞ったソリューションを生み出すためのツールなのです。
ユーザーペルソナを使うメリットは他にもいくつかあります。
- 他の製品や新機能のインスピレーションの源となる
- マーケティング関連の意思決定の材料となる
- ステークホルダーからの支持を得る上で有意義な証拠となる
- 実際のユーザーに影響を与えるリアルなソリューションを生み出すためのモチベーションとなる
ユーザーペルソナの設定方法
ユーザーペルソナの重要性をご理解いただいたところで、いよいよペルソナ設定に移ります。
1. データから始める
思った以上にたくさんのデータが利用できるはずです。本当にデータが不足している場合には、エビデンスに基づくユーザーペルソナを設定することはできません。前の段階に戻ってユーザーを対象とした調査を行う必要があります。以下のようなデータを参照していきます。
- ユーザーインタビュー
- ウェブサイト分析 (Google Analytics では、デスクトップサイトとモバイルサイトの利用者の割合や訪問者の属性情報など、ユーザーに関する膨大な情報が得られます)
- 競合分析
- ステークホルダーからの情報
- キーワード (SEO) 分析
2. パターンを探す
データが集まってくると、その量に圧倒されてしまうこともあるでしょう。これを整理していきます。
データの中にパターンを探してみましょう。グループ化できる主な構成要素が見えてくるはずです。例えば、技術的知識がそれほどないユーザーは、全員が Facebook からサイトにアクセスしているかもしれません。
例えば、男性ユーザーの年収が70,000ドルを超えていることや、英語話者が多いこと、都市部に住み、犬を飼っていて、マーケティングの仕事をしている人がユーザーの中心層であることに気がつくかもしれません。こうしたパターンは自然に浮かび上がってきますが、どこに注目すべきかが分かっていれば、特定もしやすくなります。
3. ユーザーペルソナの主な構成要素を含める
これについては 2 で簡単に説明しましたが、パターンを見出し、ユーザーインタビューですべき質問を検討するには、主な構成要素を含めるのが有効です。ユーザーペルソナには、以下のような要素を必ず含めます。
- 写真
- 名前 - シンプルで覚えやすいものにします。名前に短い形容詞を一つ足しておくのもよいでしょう (叙情的な表現がベター)。
- 説明 - これを加えることで、調査内容を意義ある実用的なデータへと変えていきます。説明には以下を含めます。
- 人口統計的属性情報
- 年齢 - この特定のパターンの平均年齢とし、下限や上限ではなく、平均値を使います。
- 職業 - 調査のパターンは共通のテーマに沿ったものでなければなりません。ユーザーにはテクノロジー業界、製造業界、ファッション業界で働く人が多いなど、最も可能性の高い職業に絞ります。
- キャラクター - 作家は皆、共通の元型を使ってキャラクター作りをします。デザイナーの中には元型とペルソナのどちらかが必要と考える人もいますが、二者択一ではなく、ペルソナに元型を含めることもできます。無垢なタイプ、ヒーロータイプ、探検家タイプ、ビジョナリータイプ、芸術家タイプなど、元型に当てはめることで、ユーザーの傾向やジャーニーが見えやすくなります。
- 性格 - マーケティングの方向性を決めるのに役立つ要素です。ユーザーに外向的な人と内向的な人のどちらが多いか、創造性と分析性のどちらを重視するか、消極的か積極的かなどを考えてみましょう。
- 人口統計的属性情報
- 課題 - ユーザーが主に抱える課題や、そのきっかけとなる要素を考えます。
- ユーザーの目標・動機 - ユーザーのもつ満たされないニーズは何か、生活の質の向上に何が役立つかを考えましょう。
- 日課 - ユーザーが主に製品を使うタイミングを把握する上で重要な要素です。夜寝るのは遅いのか、在宅勤務か、ソーシャルメディアをチェックする時間帯などを把握することでデザインの参考にすることができます。
- ストーリーを語る - ユーザーペルソナを使う人が共感を持てるようにするには、この要素が大切です。ユーザーに関する事実を把握することと、ユーザーを深く理解することは別のことです。ユーザーの感情や希望、製品とのやり取りを含めたストーリーを作り上げましょう。
4. 1つのユーザーペルソナにとらわれない
多くの企業では、調査段階で判明した複数のパターンに合わせられるよう、少なくとも2通りのユーザーペルソナを使用します。例えば、あるペルソナは年配の男性でもう一人のペルソナは若い女性だとしたら、これに対応するデータがあるはずです。ペルソナの数は調査内容を盛り込むために必要な最小限の数とし、すべてのデータポイントに対してペルソナを作成することは避けます。一般的には、ユーザーペルソナの数は5つまでにとどめるようにします。
5. テンプレートを使用する
手間をかけずにスマートに作業を進めるには、ユーザーペルソナテンプレートを使いましょう。ユーザーペルソナに関するガイダンスが予め用意されているため、毎回同じプロセスをゼロから始めたり、メモを見返す必要がなくなります。また、情報を盛り込みすぎるのを避けるためにも有効です。情報が多すぎると、ペルソナの有用性が損なわれることになります。また、テンプレートではペルソナが変わっても同じ情報を引き継ぐことができるので、ペルソナを増やしても情報を入れ忘れることがなくなります。

ユーザーペルソナを作成したら、忘れずに活用しましょう。社内の誰もがアクセスできる場所に保管すれば、社内の会議で使用するほか、製品に関する意思決定が必要なときにはいつでも参照することができます。
ユーザーペルソナを使うほど、ユーザーのことが深く理解できるようになります。共感力を磨くことで、より創造的にユーザーへ多くの価値を届けられるようになり、これが事業価値の構築にもつながって、変化を続けるユーザーニーズに沿って継続的にソリューションを進化させられるようになります。

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